今回のNYCB日本ツアーで2回行われた「バレエ・インサイト」。私は2回目の“音楽から全ては生まれる~『バーバー・ヴァイオリン・コンチェルト』に焦点を当てて”に参加してきました。
NYCB教育部マネージャーのローレン・アクセルロッド女史の司会で、芸術監督ピーター・マーティンス氏と音楽コーディネーターのリチャード・モアドック氏が通訳を介してお話をしてくれました。
NYCBはこういう教育プログラムにも力を入れていて素晴らしいですね。お客様サービスは、何もダンサーとの写真撮影やサイン会だけじゃないんですね。
さて、パネリストからは色々興味深いお話がありました。
その中で、印象に残った事を2,3。
質疑応答で、お客さんからの質問に答えるかたちでマーティンスが語ったことですが、現代作曲家の作品を盛んに取り入れられないのには、お金がかかり過ぎるから、とのことでした。
また、レゲエなどの最新の音楽ジャンルも取り入れたいが、録音を使いたくないので、どうしてもその分野の演奏者を呼ぶことになる。そうすると、付属のオーケストラのメンバーに十分なお給料が払えなくなる。・・・等々、なるほどなお話でした。
第2に、NYCBでは音楽がまずありきなんだ、ということ。なので、プログラムなどには、振付家より先に作曲家の名前が印刷されています、ということでした。
これには、私もすごく申し訳ない気持ちになりました。アメリカ在住時代から、NYCBはそこが他のバレエ団とは逆転して書かれているのに気づきながら、自分のウェブサイトには一般的な振付家→作曲家の順に直して書いてました。「きっと音楽を重視しているからだろう」とは思っていたのだけど、ついつい他のレビューとの見た目の整合性に囚われていたのでした。でも、あの場であんなにはっきり言及するほどの拘りがあったなんて・・・。これからは私も改めよう!
最後に、音楽重視の観点から、「NYCBでは音楽をダンサーに合わせない。ダンサーが音楽に合わせるのです」という言葉が心に残りました。「音楽はバレエの伴奏ではない」という言葉も、NYCBが他バレエ団と決定的に異なる点ではないでしょうか。私はここで感動すら覚えましたね。
例えば、人気作品「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」は世界中のダンサーが踊ってますが、踊り手によってかなり所要時間が違います。私が所蔵する複数の映像で最も速い組と遅い組では、全体8分ほどの音楽で40秒近くも違います。(レヴェランスなどの時間は省く)
世界のバレエ作品には、音楽よりもドラマを重視するもの、ダンサー個人の表現やテクニックを重視するもの、様々あるからこそ楽しいのだけど、NYCBの舞台はこの「音楽があってこそ」を深く胸に留めながら見たいと思いました。
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